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アウルム地方 Ⅴ

مؤلف: エチカ
last update تاريخ النشر: 2026-04-10 07:45:07

 本当に彼女は十二歳なんだろうか。

 十八にもなって、自分の人生すら他人に右往左往されている自分が恥ずかしくなる。

「義姉上、彼には順を追って話しましょう」

「あら、まだ事件の事はお話してないの?」

「まぁ、そうですね。義姉上を待ってから、と言うのもありましたが……。教会側の承諾を得るのに時間がかかっておりまして」

「団長のオイタが過ぎて距離を測りかねている、と正直に仰っては?」

 そう言ったミレーの言葉に、オルタナはビクリと肩を震わせた。

 オルタナはあの番云々の話以来、 公爵と二人になると緊張して口籠ってしまい、微妙なのは確かだった。

「ミレー、御前だぞ」

「ラチア陛下はそんなこと気にする様な狭量な方ではございません」

「そろそろ昼食にしましょうか、義姉上」

「あ、誤魔化しましたね。団長」

「煩いぞ、ミレー」

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   作戦実行

    「伯母上がグラスの中身を彼女に掛けただろう? あの中身がお前も使っているあの香水と同じ成分の液体だった」「そうだったんだ……」 てっきり自分の項の香水で落ち着いたものだとばかり思っていたけれど、勘違いだった。 恥ずかしすぎる……。 そう言えば、と思い出す。 大公妃が「もう大丈夫ですね?」と確認していた――と。「お前の項だけでも効果抜群だったがな」「ふ、ふぅん……」「何だ? まだ腑に落ちないのか?」「な、何かいっつも荷袋の中に詰め込まれて運ばれてさ。はい、どーぞって舞台上に転がり出されるみたいな? ヴィー様だけが分かってて、僕いっつも踊らされてる感じじゃん。それが何か、居心地悪いって言うか……」「ぷっ、荷袋……」「わ、笑うな! 真面目に話してんだから!」「じゃあ、オーリィが聞きたい事を聞いてくれ。答えられる事にはちゃんと答えると誓う」 そうだ。彼には守秘義務がある。言えない事があるのは仕方ない事だ。 でも、今がおねだりチャンスじゃないのか? オルタナは失敗したら後がない、と生唾を飲む気持ちで口を開いた。「モ……モリガン大佐って、今、どうなってるの……?」「……誰に何を入れ知恵されたんだ? オーリィ」「え? いや、ぼ、僕は大佐がどうしてんのか気になって……」「オーリィ、交渉事に嘘は悪手だぞ。どうせ、義姉上あたりから頼まれたんだろう?」 秒でバレた……。「な……何でそう思うの?」「俺に兄上をけしかけて散々放置して、庭で楽しく過ごしていたのは誰だ?」「うぅ……ごめんなさい」「会いたいのか? ルアドに」「え? 会わせてくれるの?」「まぁ正直な所、こっちも膠着状態で困っているのは確かだからな」 公爵はモリガン伯爵が危篤状態で爵

  • 魔女ドーラの孫(仮)   クローゼットの攻防 Ⅱ

     オルタナは怒らせるかも、とは思っていたけれど、こんなに落ち込ませるとは思っておらず、こっちが悪い様な気になってしまった。「……別に、怒ってはないけど」「だが、手を振り払ったじゃないか……」「だって、あれはヴィー様が……丸め込もうとするから……」「別にしてない。顔色を見ようと近づいただけだ」「ほ、放って置いて欲しい時だってあるでしょ? 大体ヴィー様がいつも何にも教えてくれないから……」 責めるつもりは毛頭ないのに、責める言葉が口から零れる。「他の番の事か……?」「……分かってる。いづれはそうなるって分かってるけど」「いづれはそうなる、とはどういう意味だ?」「だって、僕にはヴィー様の子供は産めない。仕方ない事だって分かってる。誰か他の番が必要だって……」「違う! そうじゃない!」「はぇっ⁉」 急に声を荒げた公爵に、オルタナは驚き過ぎて変な声が出た。「俺がお前に“すまない”と言ったのは、あの場ではそう言う話にしておいた方が良かったからだ」「……どう言う事? って言うか、何にも教えてくれないんだから、そう思ったって仕方ないでしょ⁉」「……そうだな。すまない、オーリィ。だけど、俺は言ったはずだぞ。お前が唯一の番だと」「そ、れは……そう、だけど……」「俺はずっと不思議だった。ケルメスがお前の母君を愛妾として囲っていたのなら、妖精の様に美しいと噂のある母君によく似たお前に、もっと早く手を付けても良いはずだ。だが、ドーラ殿が捕らえられ十年経っても、ケルメスはお前を放置していた」「あぁ……うん、そう言われてみればそうだね」「それはお前が発情しないからだ」「え……?」「原初のΩの血を引いていても、発情していなければ利用価値がない」「なるほど……」 だが、オルタナはふと一つの疑問が湧いた。

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    「えぇ?」「自分を殺して大人の事情に付き合ってたら、ロクでもない事になるわ」「ロクでもない事……」「あ、その……オルティは私よりお兄さんで、子供じゃないかもしれないけれど……大体高位貴族の大人って自分の思い通りに事が運ぶと思ってる」「はぁ……」 オルタナは王妃の“お兄さん”という言葉に驚いた。 年齢はともかく同等かそれ以下だと見下しても良い権力をお持ちなのに。「子供は何でも自分達の言う事を聞くと思っている」「まぁ、そうですね。逆らえる気もしませんけど……」「それに、ヴィンス相手じゃ喧嘩するのは分が悪いわ」「ラチア様は王陛下と喧嘩なさるのですか?」「喧嘩……と言うか、一方的に私が怒っている事が多いわね」「でも、仲良さそうに見えますよ」「うふ、愛してるもの」「おぉ……」 堂々とそう言える王妃が、キラカの灯でより幻想的に美しく見える。 オルタナは自分のグラグラと動く弱い心を確める様に、胸に手を当てた。 公爵が子を産める番を持てと言われるのは、至極当然の事。 でもそれに覚悟が出来ていなかったのは、公爵の“唯一の番”という言葉を安易に丸飲みしていた自分のせいだ。 これから運命の番として、誰か他のΩの子を抱く公爵を寛容に許し、サリバン公爵を支える人生が待っている。 でも、それが嫌だと言って離れていく事も出来ない。 苦しくても、離れるなんて無理だ。 だって、愛しているもの。「我儘な王妃に手を焼いている王様。そう言う筋書きなの」「筋書き……?」「レイって本当はもっと優しい人。でも、優しいだけじゃ国王は務まらないでしょ。だから私が我儘を言って、それを仕方なく許すって言う茶番?」「国政が茶番?」「私が矢面に立つことでレイを守れるなら、それで良い。私はもうすぐ十三歳になるけれど、子供だと侮る者は

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   クスニューの森 Ⅳ

    「んぐっ……あああああの、は、はい。何て言うか……条件は満たせまして、その……」「まぁ、あの方の事ですから薬で発情している君を手籠めにする事はないと思って、あの薬を渡したのですけれど」「そ、そうなんですか……」「そんなに目立つ首飾りを用意するあたり、本気なのでしょうから」 こちらを向いたウケイの表情が、微妙な表情をしている。 その表情は寂しそうでもあり、嬉しそうでもあって、オ

  • 魔女ドーラの孫(仮)   クスニューの森 Ⅱ

     ウケイは、溜息交じりに呆れた様子でその会話に割って入る。「二人共そのくらいで。遊びに行くのではないのですよ」「そうだぞ、赤毛!」「ファージ様も、我々は“クスニューの森”を通ってアウルムへと向かいますが、宜しいのですね?」「……え? クスニューってあの、危険区域の?」「はい。その危険区域のクスニューですよ」 王領の一部であるクスニューの森には王陛下の許可がないと入れない。 原生林に近い森で軍の野営訓練などで使用される他は、立入りが禁じられている。

  • 魔女ドーラの孫(仮)   オルタナとミレーの共謀 Ⅱ

    「ミレー、お前何怒ってんだ?」「ノエル、私が何に怒っているのか、分かっているのよね?」「はっ⁉」 「分かっているから誤魔化そうとしているのよね?」「ちょ、団長? これ、どうっ……」「分かった、ミレー。茶を淹れてくれ」「濃いぃの淹れて差し上げますね。だんちょっ!」 ティーセットと湯を用意して、オルタナが用意した茶を淹れる。  その途端、特警の詰所に、まるで猛暑日の厩舎の様な匂いが立ち込めた。  立ち昇る湯気に混ざる強烈な匂いに、ミレーも眉を顰

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